昨日午後7時のこと。
「今晩は仕事に集中したいから夕食は作らぬ!」
との相方からのお達しがあり、久し振りにご近所での外食とあいなりました。厚着して外へ出ると、いやはや、寒くないではありませんか! 温暖化がホントに進行しているんでしょうか?
向かった先は人形町の『芳味亭』(ほうみてい)。座敷に上がって食べるちょっと昔風の洋食屋さんです。「ビーフスチュー」や濃厚なデミグラス・ソースで有名なお店ですが、他にも様々な一品料理や、デートや接待、何かしらの記念にと選ぶ多数のコースメニューもあります。「洋食弁当」の「並」と「上」も定番。ここだけの話、「Dコース」のビーフステーキは仲居さんが小声で「圧倒的にお得ですよ」と耳打ちしてくれたことがあります。でも、私がここで90パーセントの確率で注文するのは「ランチ」。「ランチ」とはいえ夜でも注文できます。お店の看板料理がちょちょいと盛られたバランスの良い洋食メニューなのであります。
骨身にこたえる冬の寒さで凍える現実的な辛さと、温暖化による子孫たちへ引き継いでしまうであろう未来への負の遺産に対する後ろめたさと、うむむと、選択に迷いながらも、『芳味亭』で何を食べるかという迷いに打ち勝てる訳もありませんでした。ああ、私は残りの人生でエコロジーについて多くを語る資格がないのかもしれません。
あれやこれやと悶々と決めかねていましたら、ああ、なんとまったく違った選択肢がふって湧いてくるではありませんか! 『芳味亭』の横を通り過ぎ、向かった先は『喜楽』(きらく)。バランスの良い「ランチ」でなく、ガツンと一品、ニンニクの香り満載の「ポークソテー」を突然、食べたくなってしまったのです! ああ、私は残りの人生では、食についても多くを語る資格がないのもしれません!
『喜楽』というと、中華料理屋を想像してしまうかもしれませんが、ビーフカツレツで有名な洋食屋なんです。人形町交差点のすぐそば、都営地下鉄浅草線の「人形町」駅の出入り口すぐそばにあります。
もう半年ほどになるでしょうか、その地下鉄出入り口が工事中でせわしないのです。そんなわけで、なんとなく足が遠のいており、『喜楽』に来るのは、ほぼ二か月ぶりでした。
いやあ、びっくりしましたよ。
調理場が劇的に変わってたんです。この数年、威勢のいい女将と、妙に日本語が堪能な中東出身らしき男性二人で調理場が切り盛りされていたのに、その二人がいなくなってるじゃありませんか!
そこにいたのは、中年男性二人。多分、娘婿と思われる男性がメインの調理をし、もう一人がサラダや野菜を準備したり洗い方を担当する補佐役らしい。フロアは以前にも目にしたことのある女性ひとりだけ。この女性が店を引き継いだんじゃないのかな? 以前はあと二人ほど女性がいたので、狭い店内に従業員五人がひしめきあっておりました。でも今日は三人だけ。でも、ちゃんと機能してましたよ。
店の改装をしたわけじゃないんですが、店の空気がまったく違ってたんです。ゴミゴミした感じがしない。調理台にパンくずや野菜の切れ端しなどもない。金属の調理具もふき上げられ光っていたし、店全体が見違えるほど清潔になっていました。どうも、代替わりしたとしか思えません。
調理する男性の料理の手際は、いまひとつに見せました。とはいえ、手順通りの丁寧な基本動作が徹底しており、料理への期待を感じました。
私は「ポークカツ」、相方は「ポークソテー」にビールを注文。
ポークカツは揚がった後、すぐに盛り付けられませんでした。しばらくパッドに置いたままにして、衣の中でじっくり茹で上がるのを待っていたのでしょうか? 食したポークカツには潤沢なしまりがあり、以前より旨くなってました。ポークソテーは煮過ぎたのか、少し硬さを感じましたが、焼きも香りも以前よりバージョンアップしていました。
店の定番である「ビフカツ」の調理を見ていたんですが、以前よりビーフが肉厚になったにも関わらず、揚げ時間が一気に短かくなってました。揚がったビフカツに包丁を入れた断面からは、レアーに仕上がったビーフの赤い肉片が見えました。以前は、カリカリっとした触感ばかりが際立ち、ビーフ感があまり感じられず、一回切りの注文でした。新しくなって、よりジューシーな揚げ具合が期待できそうです。
次に『喜楽』に来るときは、きっと、きっと、定番の「ビフカツ」注文することでしょう。
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