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2006年3月29日 (水)

俊ちゃん来たる

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今日、俊(シュン)ちゃん来たる。

彼は、変わっていなかった。二十年前に彼が力説していた信念は、あのときのまま、まったく変わらないまま、進化し続けていた。

彼が来社するのは翌日の30日(木曜日)だと、私は誤解していた。ちょっとした行き違いで、彼が実際に来社したのは、その前日の29日(水曜日)、今日の午後2時だった。うちのスタッフは大慌てで、外出中の私に緊急の連絡を入れたのだった。

この日、私は午後1時半から別件で浅草方面にて打ち合わせ中。一時間弱で打ち合わせが終了していたことも幸いし、スタッフから電話を受けると、人形町の事務所に急いで取って返した。

30分ほどで辞すから、という彼だったが、結局、一時間ほど待たせたあげく、それから一時間以上話し込ませてしまった。しこうして、彼が事務所を辞したのは、午後4時を回っていた。

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俊ちゃんは私よりひと回り以上の年配だ。それもちゃんとしたビジネスマン。ちゃんとしたというのは、社員を何万人と抱える大手企業に30年以上勤務しているエグジェクティブなのだ。先日まで常務だったらしい。

彼との付き合いは二十年ほど前のこと。私がある翻訳会社に勤務していたときからだ。仕事の掘り起こしの社命を受け、ある電子機器メーカーへ二年ほど常駐させられた。そのメーカーの担当責任者だったのが俊ちゃんだった。私は外注業者で彼は雇い主、という関係になる。

その二年の間に、彼は、あれよあれよという間に組織の階段を駆け上がってしまった。肩書きが主任から課長、そして部長に変わった。「自慢じゃないが、あのときの短期昇進記録は今でもまだ誰にも破られちゃいないんだよ」と、彼はちょっと笑って自慢する。

私が外注業者であったにも関わらず、彼は私を社員とまったく同等の扱いをし、教育をほどこしてくれた。私はそこで仕事のイロハを叩き込まれ、翻訳会社に戻ったあとも、そのノウハウを忠実に実行した。そのおかげで、一時は出世街道を突っ走ったが、ものづくりのほうが面白くなって、やめちゃったけど…。

多くの従業員の生活を保障したり、多くの株主への配当を増やしたり、資産価値を拡大することは、社会的責任をより多く背負い込むという意味で、価値ある行動である。しかし、それ自体が成功とはいえない、と彼は言う。規模から言うと虫けらみたいなうちのような会社に、なぜ、彼みたいなエグジェクティブが訪ねきて、話し込んで帰っていくのか。それは、多分、今でも彼のことをSさんでなく、俊ちゃんと呼んでしまうところに、いろんな訳がつまっている気がする。

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ものづくりはそんなもん、な気がする。

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