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2006年11月24日 (金)

目の前にある宇宙

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   <見慣れた花に驚きを発見する感性を失ってないか>

「博士は、宇宙人と何回も会ったことがある、とお聞ききしていますが、宇宙人と遭遇する秘訣って何かあるんでしょうか?」

「そうだねえ。そう簡単には会えない。きみは見たことはないのかね?」
「ございません」

「そうか。じゃ、きみはなぜそのような生命体に遭遇できないと思ってるのかね?」
「それが分からないので、こうしてお聞きしております」

「そうか、そうだったね」

 ニヤリと笑うと、博士は話をこう続けたのだった。

「きみが宇宙人に遭遇できないないのは、まずタイミングが悪いからなんだよ。星の寿命ってのはだいたい百億年弱と相場が決まっとる。太陽のような恒星や地球のような惑星が、爆発するかあるいは自重で押しつぶされてしまうか、それまでの期間だ。その間に知的生命体が星に現れるのは、星が誕生して40億年あたり。地球でも同じことが起こっておる。生命体が存在する時期に、すぐそばの惑星や銀河でも同じ周期に入っていたならば、複数の生命体が同時期に存在することになる。そういうタイミングがあれば、宇宙人に遭遇するチャンスができるというわけじゃよ」

「少し話が広がるがいいかね。宇宙は120億年ほど前のビッグバンから始まったといわれておる。光の速度で拡大しているため、120億光年という距離的な広がりを持ち、今も拡張というか爆発を続けとる。速すぎてイメージしずらいと思うが、たとえば、コップの中に石鹸水を入れ、その中にストローを突っ込んで息を吹きこむと、ブクブクと泡ができるじゃろ。宇宙はそんなふうに増殖しているんじゃ。その泡の表面をよーく目を凝らして見てみると、無数のチリが浮かんでいるのが見える。そのひとつのチリが銀河じゃ」

「宇宙には1,250億個の銀河が存在し、ひとつの銀河には100万から10兆個の恒星や惑星などが存在する。我々の属する銀河、つまり銀河系には、2,000億から3,000億個の恒星が存在している。その恒星のひとつ、太陽は、銀河系の中心から2万8千光年に位置し、私たちの住む地球を含めて8個の惑星を有している。地球は46億年前に形成され、35億年前に地球で最初の生命が現れ、1億年前に全盛を誇った恐竜が突然絶滅した。人類が最初に現れるのは490万年前。ほぼ100万年に渡って人類は氷河期を経験し、マンモスとともに2万年前まで生きてきた。マンモスが姿を消してから1万年後、今から1万年前に人類は定住生活を始めたといわれておる。5,000年ほど前にエジプト文明が栄え、2,000年前にキリストが生まれ、60年前に世界大戦が終わり、来年、松坂がボストン・レッドソックスに入団し、大リーグのマウンドに立とうとしておる」

「太陽系ではどうも人間以外の高度な生命体は存在していなさそうだ。天文学的タイミングからすると、誰も宇宙人と遭遇できるチャンスはないかもしれぬ。とはいえ、現代の人間が有している科学とタイムスパンでは推し量れない、とんでもない時空間からワープしてくる存在があってもおかしくはない。目の前にいるのに気がつかないだけなのかもしれんのだよ。いつも見慣れた風景、たとえば花の中に宇宙人が隠れている可能性がまったくないとは言えん。わしが宇宙の生命体と何度も遭遇したことがあるというのは、そういうことなんじゃ。実はそれだけじゃないかもしれん。さて、きみはどう思うかね…」

 博士は、ちょっと間を置くと、深くため息をつき、こう言った。

「いったい誰がストローに息を吹き込み続けているんだろうねえ? ま、お茶でも飲んで帰りなさい」

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コメント

子供の頃、ストローに息を吹き込んで、母によく怒られてました。
その、息を吹き込み続けているお行儀の悪い子が、ママにしかられてジュースを飲みだしたら、宇宙は収縮を始めるんですね。

投稿: しろくま | 2006年11月24日 (金) 09時39分

しろくまくん
きみは子供の頃だけじゃなく、今でもブクブクとやってそうだなあ。ジュースは飲めても、石鹸水は飲めないだろうから、当分は膨張し続けるんじゃないかな。

投稿: kawa | 2006年11月24日 (金) 18時06分

kawaさんが、宇宙について、ここで、考えているとは、以前の投稿を全て読んではいませんので、少し、驚きました。
私の考えている及び知っている宇宙、及びそれに付随する時間については、今日、目にして、即、詳述できませんので、後日、記しますが、経験上、宇宙の深遠を考えることは、考える内には良く、空想の中では良いと思いますが、その深みにはまると、抜け出せなくなります。

投稿: mohariza | 2006年11月25日 (土) 03時53分

moharizaさん
 私は宇宙のことを深く考えているわけじゃありません。この話のネタは、昔々、友人Kとのやりとりをメモしたもので、正確さには欠けると思います。
 ここでこんな話を持ち出してきたのは、人の出会いは奇跡的であり、大切にせにゃいかん、という自分への戒めのつもりです。
 ちょっとお恥ずかしい話なんですが、もう二十年以上前になるでしょうか、私は当時、最も尊敬していたSさんという人物から罵倒されたことがあります。「お前は本当に愛情が薄い。相手と一生つきあっていく気構えがない奴には何もできん」と。ショックでした。
 そのとき以来、私は自分が素晴らしいと感じた人物とで会うと、その人と一生関わりを持ち続けるにはどうすればいいか、Sさんに相談し、自分でも考えるようになりました。相手が女性の場合は妙な誤解を生むこともありますが、そのうち分かってくれます。相手が望まない場合でも、ゆるりとしたつながりでもよいから、長いスパンで愛情を育んでいけるとすればいいな、と思ってます。
 宇宙の話はmoharizaさんのブログを読んで、参考にさせてください。私は話の深さについていけない、と思いますので(笑)。

投稿: kawa | 2006年11月25日 (土) 04時33分

分かりました。
宇宙の話は、別の機会で、(私のブログ等で)記します。
しかし、
「いったい誰がストローに息を吹き込み続けているんだろうねえ?」との言葉は、深い重みがあると思い、
それへの私なりの言葉は、記します。 

投稿: mohariza | 2006年11月25日 (土) 05時20分

ちょっとひと言。この話を書いた理由のひとつは、あまりにも違いすぎる尺度で物事を語ることが愚かである、ということを言いたかったんですよね。
最近の地球科学では、地球にはこれまで何度かどでかい流星がぶち当たり、地表が数キロにわたってめくれあがり、ほとんどの生物が死滅してしまったことがある、という研究報告が出されています。ひょっとしたら、現代より進化した文化が存在していたかもしれないが、ある日突然、チャラになってしまった、というわけです。
まあ、生活の機微を語るとき、そこまでタイムスパンを広げることはめったにありませんが、江戸時代に比べればとか、貧乏な国の生活に比べればとか、そのような実も蓋もないような論理展開をするのはどうか、と思うのですよ。
時間や空間の幅を狭くしすぎるのは本末転倒ですが、いろいろと語るなら、もっと現実的に語るべきではないか、という、そんな意図でこのメッセージをアップしたんです。
まあ、ブログという形式では論議するつもりもないので、これで終わりにしますけどね。

投稿: kawa | 2006年12月 5日 (火) 02時56分

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