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2007年6月20日 (水)

眠り男と白いゾウ

 東京の梅雨入りは六月十六日、先週の土曜日だった。梅雨入り宣言が出ても、毎日ジトジトした日が続くわけではない。その土曜日は朝から雲ひとつないカラリとした快晴。大気澄み渡り、梅雨とは思えない夏日だった。

「土曜日の昼どきなら地下中華でしょ」

 と言うS君と二人、ひと筋となりの中華料理店へランチを食べに出た。人形町界隈では週末に開いている名店は数少ない。地下一階で営業している中華屋はそのひとつ。週明けに迫る原稿の締め切りに向け、栄養をちゃんと摂取して週末を乗り切ろう、というわけだ。
 水天宮前交差点の手前まで来たとき、青信号が点滅し始めた。駆け出そうとしたが、ドッと汗がふき出しそうで、待つことにした。信号待ちしながら、青空を見上げる。と、ちょうど真上に何か真っ白い点が見えたような気がした。

「なんだろう?」

 と、目をこらす。じっと見ていたら、白い点は一気に巨大な真っ白なかたまりとなり、私の頭の上にボワーンと落ちた。ゾウ? ウソだろ! いや、確かに真っ白なゾウだった……。

 それから二日間、私は眠り続けた。

 頭の上に落ちたのが本物のゾウだったら、きっとテレビのニュースにでもなっていただろうに、残念ながら、事実は違う。情けない話だが、あの「真っ白なゾウ」がボワーンと落ちてきた瞬間、強烈な睡魔に襲われ意識を失いかけたのだ。軽い貧血ともいう。
 それから二日間、気がつくと、机の下で寝ている。5Bの鉛筆を持ったままソファーの下で横になっている。蒲団(ふとん)を敷き切れず半分に折った蒲団の上で丸まっている。そんな「あれ?眠ってたのか…」が繰り返されたのでした。
 週が明けた月曜日の朝、真っ白いゾウは眠り男の耳元でこうつぶやくと、去っていった。

「削りなさい」

 それだけ?
 ああ、でも、思い当たるフシはある。

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コメント

気をつけてくださいまし。
躯あっての命ですから。
最近ランニングはド〜ですか?
さぼってるでしょう。
僕もさぼってる。
すごく後ろめたいけど、走る気がしない。
無理して白い象が見えるといけないので・・・

投稿: 照れキャス太 | 2007年6月20日 (水) 22時33分

削りなさい、を伝えるためだけに
白いゾウがふってきたのかも。
いや、kawaさんがゾウを呼び寄せたのかも。

投稿: いいちこ | 2007年6月21日 (木) 00時05分

私もこの頃、よく寝るようになりました。睡魔に勝てなくなりました。
徹夜が出来ないようになりました。
今更、朝方に移行するのは無理と思いますが、会社に泊まっても、眠くなったら寝て、起きてから仕事をするようになりました。と、言うより、携帯の目覚ましを掛けても、短時間では起きれなくなりました。
そういう(睡眠時間がないといけない)身体になってしまったのかもしれません。

投稿: mohariza | 2007年6月21日 (木) 01時06分

照れキャス太どの
やっぱり砂漠に行かなきゃダメなんでしょ。砂漠でなきゃ走れないラクダのような男だ、と誰かが言っとりましたぞ。あっしもランニングはちょいとご無沙汰。あまり無理せんよう、又割りとかストレッチくらいにしときます。

いいちこさん
ガウディについて出版された本が50冊ばかりあるんですよ。その本をちゃんと紹介しようと、書評めいたものを書き始めたんですが、収拾がつかなくなって…。そんなときに白いゾウが現れて「削れ」というじゃない。神のお告げかと思いましたよ(笑)。

moharizaさん
夜にゆっくり眠ったとき、肌のハリが違うんですよ。多分、気力にも影響あると思います。

投稿: kawa | 2007年6月21日 (木) 16時28分

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