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2008年7月26日 (土)

『ガウディの謎に満ちた世界』

 この暑いさなかの二週間ほど、ちょっと興奮状態が続いています。そのわけは、ずっと気になっていた本をやっと手に入れることができたからです。

 その本は2冊組みなのですが、ハードカバーの立派な装丁。サイズがA4版と大判で、しかもそれぞれ400ページ前後ある大著です。25年前にスペインで出版されたアントニ・ガウディの建築に関する研究書です。
 ひとりの学生が数年におよぶ自らの研究をまとめたものであるため、出版されたものの市販はされず、部数もわずか。とはいえ、その本によって、サグラダ・ファミリア聖堂に散在していた建築模型が系統だって整理され、聖堂の主任建築家がガウディ建築に秘められた基数を発見する契機を与えた、といわれています。
 そんな本なので、入手するのが非常に困難。しかもスペイン語で書かれているため、はなから入手しようなんて、思ってもいませんでした。ただ、そこに収められている図版の数々が素晴らしく、図版だけでも見ることができたらいいな、とは思っていました。

 私が大学関係者なら、普通に問い合わせて入手できたかもしれませんが、個人的にガウディ建築を追いかけている学外の人間では、ままなりません。ところが、今月14日のことです。その著者と会うことになったのです。

 午後2時半。

 うだるような暑さのなか、彼は資料の入った重そうなバッグを肩にかけ、汗だくでやってきました。

「一時間ちょっと時間をいただければ」

 という約束だったにも関わらず、彼は三時間ほど私に付き合ってくれました。そして別れしな、あの本を渡されたのです。あまりの感激に、私は言葉が出ませんでした。

 本のタイトルは『El Mundo Enigmatico de Gaudi』。読み方は、エル・ムンド・エニグマティコ・デ・ガウディ。ほとんどローマ字読みで大丈夫。mundo(ムンド)は「世界」、enigmatico(エニグマティコ)は「謎めいた」という意味なので、日本語にすると、『ガウディの謎に満ちた世界』というタイトルになるでしょうか。スペイン語で書かれたその本の著者は、鳥居徳敏氏。日本人だったのです。

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 彼はこの本を出版した1983年の翌年、帰国。建築事務所で建築設計の業務につきながら、『アントニオ・ガウディ』、『ガウディの建築』、『ガウディの七つの主張』(いずれも鹿島出版会より発行)という三部作を立て続けに発表しています。十年ほどの建築設計業務を経て、神奈川大学の教職につきますが、そこでも独自のガウディ論、スペイン建築史論を展開し続けています。その中でも『ガウディ建築のルーツ』(鹿島出版会)は、スペインで著した本をさらに理論展開した名著として高く評価されています。

 さて、私は鳥居氏よりいただいた分厚い2冊の本を抱きかかえるようにして帰宅すると、さっそく開いてみました。

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<図版編>

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<テキスト編>

 すると、驚いたことに、読めるんです、スペイン語が…。もちろん分からない単語だらけなのだけれど、調べればほとんど理解できるのです!
 その要因はなんだろう、と考えてみました。ガウディ建築に関する知識が少しあることで、書かれている内容を予測できること。最近始めたスペイン語のレッスンで、言葉の成り立ちに慣れてきたこと。鳥居氏の著作を熟読していること、などが思い当たるところでしょうか。とは言っても、正しく理解できてると思ったら大間違い。そんな風に自分を抑えながらも、この十日ばかり、興奮気味のままこの本を読みふけっているのであります。

 ちなみに、私はこのブログのほかに、もうひとつをブログをつくってるんですが、そのタイトルは「ガウディの謎」。そしてそのサブタイトルは、「ガウディの謎に満ちた世界 El Mundo Enigmatico de Gaudi」。そうなんです、この本のタイトルを使っているんです。
 本の入手をきっかけに、もうひとつのブログのほうも、もう少し頻繁に更新していけるかもしれません。

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コメント

やっと、kawaさんの興奮した、命が吹き込まれた文章にお目にかかれました。

鳥居徳敏教授は、数少ないガウディ研究者のお一人です。
25年前、スペインで出版されたガウディの建築に関する一学生がまとめた、(日本人の)研究書を手に出来るなんて、まして、ブログ名と同じタイトルの本「ガウディの謎」、サブタイトル「El Mundo Enigmatico de Gaudi」との出会いは、一つの縁だと思います。
元気になられたことのようですので、その内、お伺いしたいと思います。

投稿: mohariza | 2008年7月26日 (土) 14時43分

 実際にお会いして話をすると、疑問を直接投げかけられますし、表情や仕草などから無用な誤解に引き込まれることが少なくなるので、今回の鳥居先生とのお話は、距離が一気に縮まった感があり、非常に良かったですよ。
 moharizaさんからお預かりしている松倉保夫先生の貴重な資料の数々に感謝しています。まだまだ読破するには時間が必要ですが、スペイン語の資料にも手を伸ばせる勇気がでてきましたので、そう時間はかからないでしょう。
 体調も回復しましたので、ご都合のよいときにおいでください。

投稿: kawa | 2008年7月28日 (月) 00時52分

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