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2008年12月11日 (木)

思いがけぬ出会い

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夕刻、私は長い長い地下通路を歩いていた。

銀座線と半蔵門線の乗り換え駅の1つである「三越前」は、乗り換え口までひと駅分ほどある。その連絡通路は広く長くまっすぐ。だから、ひたすら歩く、歩く。

自分の足音を聞きながら歩く。
後ろからの足音に押されながら歩く。
押し出されるところてんのように歩く。

そのまっすぐな通路は上下に少し波を打っている。だから、足音も波を打つ。下り坂を駆け下りるように急ぎ足になる人もいれば、惰性にまかせるだけで速度を上げない人もいる。登り坂で後続にどんどん抜かれる人もいれば、運動不足をここで解消しようとする努力家もいる。夕刻になると歩く人も多くなり、通路の様相はさらに複雑になる。

そんなことを考えるでもなく、ただ、人とぶつからないよう注意しながらも、歩調を回りに合わせるのは嫌だなあ、などと思いながら、私はただ歩いていた。そんな地下通路モードにひたっていたとき、突然、名前が呼ばれるのを耳にし、私は飛び上がるほど驚いてしまった。

「えっ?」

と、立ち止まって振り向くと、そこには満面の笑みの彼の顔。

「いつもとは違う乗り換えして
 気分直しでも、と、思ってたら、
 妙なものに当たっちゃったねえ」

と、Dさんは言った。

「悪いことはできないなあ。
 どこで誰に見られてるか分かりませんね」

と、私。

「元気になったみたいね」
「ご無沙汰してすいません」
「来年からまた参加したらどう?」
「まだ自信ないんですよね」
「そう。でも、待ってるから」

などと立ち話をし、週末に会う約束をして別れた。

……

もしも、余裕を持って外出していたら、もしも、電車が人身事故で遅れなかったら、もしも、打ち合わせの場所が新橋から銀座に移動することがなかったら、もしも、その後の新宿での打ち合わせが急にキャンセルされなければ…。

人形町と新橋を都営浅草線で往復するだけでした。銀座線から半蔵門線に乗り換えるために、三越前を通ることもなかったし、Dさんと会うこともありませんでした。

まあ、現実はそんなことの積み重ねに過ぎないことなんでしょうが、思いがけぬ場所で、会いたかった人と会ったりすると、いろんな偶然が積み重なった、思いがけぬ出会いだったと、思いたくなってしまいます。

でも、会いたい人にそんなふうに会っちゃう確率って高くありませんか?

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