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2009年11月 2日 (月)

サイエンスアゴラ2009 三日目

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<モノレールでレインボー・ブリッジを渡る>

11月2日。サイエンスアゴラ三日目は月曜日で平日。曇り空で冷え冷えとしていた。科学への関心も外出する気力もなえてしまうのか、この日の来場者は驚くほど少なかった。ガランとした会場に子供たちの歓声が時折り響き渡る。社会科見学や体験学習といった課外授業で来ていたらしい。

来場者が昨年に較べて少ないのは、企業展示の減少や、開催が一か月早まったことによる出展者側の準備不足など、物理的な原因を挙げる人は多い。しかし、問題はそんなことではない。最も大きな要素は、主催者の姿勢にある。出展の数もシンポジウムの数も増えてはいるが、それをつなぐストーリーがない。集まってくるいろんな期待を持った人たちの顔を想像しながら計画されたとは思えない。科学の何を、いったい誰と、コミュニケーションしようとしているのか分からない。分野別にカテゴライズされ、主な出し物の紹介もあるが、個々の出し物の位置づけがなされておらず、お互いの連携もなく、それぞれの出し物に集まってくるのは関係者ばかりだ。それが「アゴラ」なんだ、「広場」なんだから、それぞれ集まってきた人たちが思い思いに自由に動けばよい、というのか。現時点での科学コミュニケーションのレベルはその程度なのか。

出展者にも問題がある。各ブースでは、質問すれば何をやっているか担当者が丁寧に説明してくれる。しかし、分かりづらい。それにも増して、来場者へ積極的に働きかけるすべを知らない。アゴラはコミュニケーションの場なのだから、コミュニケーションを科学する目で前もって分析し、いくつかのキーワードやテーマを携えて来てしかるべきだろう。

ただし、来訪者が少なくなってはいるが、品質は格段に向上したのではないか、と思う。特にシンポジウムの充実が目立った。この日の午後に参加した2つのシンポジウムには少なからず感動した。

「日本科学未来館」の7階にあるメイン会議場「みらいCANホール」は、円形ドームのような作りで素敵だった。午後1時から始まった「シンポジウム「これからの科学コミュニケーションを考える」 は3時間の長丁場だった。前半は5名のプレゼンテーターが順に各分野からの発表を行い、後半はパネルディスカッション、という形式だった。記憶に残っていることは……。

まず、「科学全体を見渡した科学はまだ存在していない」という吉川弘之氏(JST研究開発戦略センター センター長)の発言には驚いたこと。新井紀子氏のデータベースへの取り組みは斬新で、科学者の人材交流だけでなく、市民、特に高校レベルの科学志向を促すツールとなる可能性が大いにある。高橋真理子(山梨県立科学館 学芸員)氏が実践してきている市民との交流には、科学することの本来の楽しさを実現するための大きなヒントをいただいた。

また、多方面に広がる話題をジャン・ジャック・ルソーの「広場と祝祭」を引き合いに出して締めくくった、司会の美馬のゆり氏(前科学未来館副館長)の落ち着いた進行と臨機応変な対応は、参加者たちが何かをつかんで納得して席を立たせるに足る、迫力と自負を感じた。

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<分かりやすく説明してくれた吉川弘之氏>

しばしの休憩の後、同じ会議場で午後4時過ぎから始まった「“ツタエルコト”はどこにある!? -科学コミュニケーションと学術コミュニケーション」は、コミュニケーションの進むべき方向をいくつか明確にする意味で非常に興味深い内容だった。私のメモも6ページほどあるが、このイベントに関しては、min2-fyさんブログのエントリ(「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」の2009-11-02のエントリ)を参照されるのが一番だ。内容の濃さは凄いのひと言。ありがたい!

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<6名のパネリストたち>

2つのシンポジウムを拝聴させていただき、主催者の意気込みを感じ、企画者たちに感謝した。午後7時、科学館を出ると空はとっぷりと暮れ、周りの建物の照明も落ち暗い中、駅まで歩きながら、「場を設けるデザイン」という言葉を繰り返していた。

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