サイエンス

2010年8月10日 (火)

Art Meets Science

「東北大学サイエンスイラストレーションサマースクール in Sendai」では、サマースクールの一環としてオープンパーティを企画しています。

「Art Meets Science」というタイトルが示すとおり、サマースクール参加者だけでなく、サイエンスとアートという日本では接点の薄い分野にいる人たちが、肩の力を抜いて集えるように開かれたオープンパーティです。また、パーティ会場として、宮城県知事公館という独特の雰囲気のある空間を、東北大学の長神氏の尽力により確保できましたので、日常から離れた新しい出会いが演出されるかもしれません。

公式ページ(http://science-in-society.blogspot.com/)で発表されているパーティの内容を、以下にご紹介いたします。

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名称:Art Meets Science
日程:8月20日18:30-20:30
会場:宮城県知事公館(http://www.pref.miyagi.jp/hisyo/hisyo_page_6.htm
会費:3,000円 (イラストレーションスクールの受講生の方には割引があります)
定員:50人
(参加自由ですが、満員の際は御断りすることがあります。事前に、御名前・御連絡先を御一報頂くことをお勧めします。お車での御来場の際は必ず、御一報下さい。連絡先: sci_art@sendaibrain.org )
構成: ショートプレゼンテーションと立食パーティー 
ショートプレゼンテーションは、1人5分程度のライトニングトーク形式
演者10人程度(招待+公募)
招待スピーカー: David Mazierski, 奈良島知行ほか

公募) 氏名、御職業、演題と数百字程度の概要を、下記連絡先までお送り下さい。
  sci_art@sendaibrain.org

<8/10現在、相当数の応募があるので、間もなく締切ます。>
1) 理系研究者・大学院生から、御自身の研究概要とそのビジュアライゼーション(概念図、表なども含みます)を交えて語って頂ける方を求めます。
2) アーティスト、イラストレーターなどから、特にサイエンスをテーマにした作品の紹介や、その作品ができるまでについて、語って頂ける方を求めます。
3) 理系研究者・大学院生/アーティスト・イラストレーター/サイエンスコミュニケーターなどの方々から、サイエンスを視覚化したり、形にすることで、伝えあうことについて、理念・実践のどちらかあるいは双方から語って頂ける方を求めます。

会場では、サイエンスイラストレーション作品を一部展示すると共に、動画上映も行います。

注) 会場の室内は土足厳禁ですので、スリッパをお持ち頂くことをお勧めします。

主催) 仙台ビジュアルアートxサイエンス プロジェクト
協力) 東北大学大学院医学系研究科サイエンスイラストレーション・サマースクールin Sendai 2010

<追記 8/11> プレゼンテーション予定者(敬称略)
 David Mazierski  (Univ of Tronto)
 Tomo Narashima (Tane+1, LLC)
 鶴巻風 (確認の上、追記します:サイエンスアーティストの方です)
 田中幹人 (早稲田大学サイエンスメディアセンター)
 瀬尾拡史 (東京大学:サイエンスCGのクリエイターの方です)
 田中佐代子(筑波大学)
 菅野康太 (東京大学)
 ほか

また、当日、韓国で公募されるサイエンスイラストレーションコンテスト(賞金があるらしいです)についても、紹介プレゼンが予定されています。
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夏がすぎ去る前に、仙台で一夜を過ごしてみてはどうでしょう。

ちなみに仙台発新幹線最終便は、
はやて32号(21:26発、東京着23:08)、または
やまびこ70号(21:40発、東京着23:44)です。

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2010年7月31日 (土)

夏だから、サマースクール

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ニューヨークで活動している、友人のサイエンスイラストレーター、奈良島知行氏がこの数年に渡って日本でやってきた努力が、この夏、花開きます。

東北大学でサマースクール、筑波大学で国際フォーラムが開催されます。ここでは、東北大学で開催されるサマースクールだけご紹介します。事前申し込みが必要なんですが、残念ながら、申込は締め切られています。紹介が遅くて、ごめんなさい。

「サイエンスイラストレーションサマースクールin Sendai 2010」

と題したこの企画は、ワークショップを主体にした実習講座です。サイエンスイラストレーションを本格的に実践する日本初の試みとして注目されています。

開催期間は、2010年8月19日から21日までの3日間。正式なインフォメーションは「東北大学脳科学GCOE」の下記のサイトで広報されています。

 http://ja.sendaibrain.org/topicsDetails/sci_illust_2010/


この企画はもともと、「サイエンスアゴラ」を立ち上げた長神風二さんと奈良島さんとの密接な関係があり、長神氏の新しい勤務先となった東北大学脳科学GCOEの尽力により実現しました。

当初の予想に反し、定員の三倍以上の申し込みがあり、東北大学の事務局は嬉しい悲鳴をあげました。でも、参加者を絞り込むのに頭を悩ませたようです。

サイエンスイラストレーションは、サイエンスの内容や概念を効果的にイラストを用いて表現する手法で、特に北米では専門の大学院課程が存在するなど、確立した分野になっています。このサマースクールは、この分野のトップ校の一つ、カナダのトロント大がkからマゼルスキー准教授を迎えた、3日間のショートコースです。奈良島知行および私も含めたサポートスタッフが同席し、指導にあたります。

サイエンスイラストレーションの学部講座は、アメリカで100年、カナダで60年の歴史があります。日本でも科学の世界で、サイエンスコミュニケーションの一部として認識され始めているのですが、サイエンスとアートはまだまだ距離感があり、日本の大学では専門のプログラムがスタートするには至っていません。

最後に一言。

北米から講師を招聘する交渉やもろもろの費用は、ほとんどすべて奈良島氏がまかなっているという現状を、良しとしてはいかんでしょ。今回は、東北大学と筑波大学から日本国内での交通費と宿泊費を出してもらうことになったんですが、各大学とも、その予算確保にはすごく、すごく大変だった・・・。担当された先生方には本当に頭が下がります。

奈良島氏は数年前から、サイエンスイラストに関する日本でのイベントがあれば、なんとかせねばと手弁当で関わってきました。それは、なんとも不健全な状況なので、私としては、NPO法人化するなどして、彼の活動を国家的に支援する仕組みを作りたいと思ってます。

(参考)
GCOE(Global Center of Excellece)というのは、大学がグローバルな競争力を持つために、国家的戦略として確保された予算によって国際的に優秀な人材を集めようとする高等な大学院のことです。

(余談)
「納涼名選会 鈴本夏まつり」の最終日は仙台にいるため、恋ちゃんといっしょn行けません。鈴本演芸場に行けるのは中日あたりか、と。柳家権太楼やさん喬のいぶし銀の演目も楽しみですが、今年は喬太郎をみてみたいのに、実現できるんかいなあ・・・。

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2010年1月 6日 (水)

信号待ち

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<水天宮前交差点>

奈良島知行氏にサイエンス・イラストレーションを描いてほしい、という問い合わせが2件、立て続けに入ってきた。どちらもこれまで彼が活動して知り合った方を通じての仕事。どちらも発注してきたきっかけは奈良島氏が運営する「Tane+1(タネプラスワン)」のウェブサイトにある、という。「そこでイラストを見たのですが・・・」「ウェブサイトのデザインのテイストにピンと来たんですが・・・」というのだ。今日は丸一日、その対応に追われた。ログを書いたり、見積りしたり、電話したり・・・。一件は成立するだろうが、もう一件はやるべきかどうか迷う。信号が変わっても渡らないで引き返したほうが良いこともある。

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2009年12月19日 (土)

整体と正體術健康法に共通すること

現在普及している整体は、野口晴哉(はるちか)という天才的な施術家が昭和初期に創始したもので、「野口整体」と呼ばれるものです。

それより以前に整体に類するものがなかったかというと、そうではありません。漢方医学や民間医療として面々と受け継がれていたものがありました。漢方医薬を扱う家に育った野口晴哉氏は、そのような伝承を自分なりに集大成したのですが、その中でもある医者が編んだ書籍を参考にしたことは、よく知られていることです。

その書籍は、高橋迪夫(みちお)氏の『正體術健康法』でした。その中で紹介されている「正體術」が現代語訳として以下のように紹介されています(「正体術健康法ブログ」より抜粋)。

■正体術の準備
1、楽々と仰向けに寝て、全身の力を抜いてリラックスします
2、足をそろえたままだんだんに膝を折って、引き寄せていき
3、腿がまっすぐに立って足の平が畳についたら、さらにカカトをお尻にできるだけ近づけます。
4、できるだけゆっくり膝を曲げて、お尻を上げるようにしてひけるだけ腿を胸にひきつけるように曲げます
5、ここで一息ついて
6、静かに膝を下ろしていって、もう少しで足のひらが畳につくというところで、急にカカトに力を入れて畳をすりながら勢いよく踏み伸ばします。

……(途中略)

■正体術
1、 正体術の準備の最後の足を伸ばしたところで、アゴを引き、両側の肩甲骨が後でくっつくようにして、手は十分に伸ばし、手のひらは上に向けて、指はいっぱいに開きます。
2、 足は膝を曲げずに、足の指をいっぱいに開いて十分に反らし、腿に力を入れ足首を甲側にひけるだけひき、お尻にも力が入るようにします。
3、 こうすることで全身の筋肉に力をいれます。体全体が、棒のようになりますが、理想的には、息を殺さず、息だけは普通にして、腹は柔らかいままに保つ。(最初は、腹を柔らかくできませんし息も止めてもよいでしょう)
4、 2、3秒こうしたままで、ピクリとも動かさないでおいて
5、 急に全身の力を一気に抜いてゆるめる。
6、 その後、3~4呼吸くらいの間、普通の呼吸に戻るまで静かにしておく。

ポイント:正体術の完成したポーズでは、腕も脚も床から浮いた状態になります。
<正体術も、寝る前に1度行えば良いのです。>

以上のように、正體術健康法のポイントは体を緩めることです。偏った体を緩めて正常に戻すことです。

ところが、人は歳を重ねる従い環境に適応する能力が高くなり、体を緩めることが下手くそになっていきます。そうして正常な体のバランスを崩してしまうのです。固まった体を緩め、自分の力で体力を回復することが正體術健康法の目的。それは、整体が目指すことと同じです。

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2009年12月10日 (木)

情報を仕入れるタイミング

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今日は晴天。風強く、雲、空を飛ぶ。

午後7時に目黒駅で師匠と待ち合わせ、友人Aちゃん宅を訪問。緑内障で大変なことになっている愛犬まこちゃんを、師匠が整体するのを見学した。一時間ほど子供をあやすように施術しながら師匠がAちゃんを指導する。その後、合流したRUMちゃんと四人で連れだって五反田に移動し、グルジア料理をいただく。グルジアはトルコに隣接するロシア圏の国。やさしい料理だった。

武道整体は今月末で卒業となる。指導は講義と実技、週一回4時間ほど。修行期間は通常二年かかるが、ほぼ一年で終了となる。卒業が早まった原因は、環境が整っていたからだ。マンツーマンの個人指導であったこと、二人ひと組で修得するための相方がすでに修行を終えていた先輩であったこと、週三回ほど行う実技訓練の実験台になってくれる友人たちに恵まれていたこと、家人の協力があったこと、そして毎日の課業を励行する意志が強かったことなどが挙げられる。

このような環境に恵まれたこと以上に、的確な師匠の指導が最も大きな要因であったことは言うまでもない。その中でも、情報の仕入れ方に関して多くを学んだ。まず最初に手渡された教科書について、師匠はこう言われた。

「教科書を知識の塊として暗記しても何の役にも立たない。施術に役立てられるよう文脈を読み解かなければ何の意味もない」

また、関連する書籍を勧められるようになったのは、習い始めて十か月ほどたってからだった。書庫から出してきた本には、東洋医学の原本である「黄帝内経(こうていだいけい)」の 「素問」(そもん)と「霊枢」(れいすう)、「整体」を創始した野口晴哉(のぐちはるちか)や亀井進、橋本敬三の著書があったが、その中から10冊ほどをお借りした。読んでみると、すんなり入ってくる。多分、半年前に手を出していたら、そうはいかなかったに違いない。武道整体と自分自身との距離感がつかめていなければ、情報に振り回されていただろう。

情報を大量に仕入れて事情通になる前にやるべきことがある。知る目的を「知らぬ」ことを武器に考え抜いて判断力を磨くこと。そこを乗り越えることができれば、自分の立ち位置を見失うことなく発言することができるだろう。根本的に世界を変革する基軸を生み出す可能性も高まるに違いない。

この夏からサイエンスの世界に頭を突っ込み始めたが、広すぎて迷子状態が続き困っていた。一か月ほど前にイラストレータの奈良島さんと一緒に見て回った「サイエンス・アゴラ2009」、科学のあり方を根本的に見直すきっかけとなった事業仕分け、伊藤豊雄氏のトークショー、北澤宏一氏の講演会を経て、やっと自分の立ち位置が見えてきた。

情報を発信することはまだできぬが、情報を一気に収集し整理していく段階に入ったことは間違いない。

昼食は「関山」のお弁当。

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2009年11月28日 (土)

DIS+COVERサイエンス創刊発表&記念講演会

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<初めて訪れた白亜の「科学技術館」>

カラリと晴れ渡った週末の午後、九段下にある「科学技術館」で開かれた講演会に出席した。講演者は北澤宏一氏。独立行政法人科学技術振興機構(JST)の理事長である。日本の科学技術を牽引する巨大な組織のトップ。演題は「科学技術が日本を救う」という壮大なもの。この講演は一冊の本としてまとめられ、版元である「ディスカヴァー・トゥエンティワン」より「DIS+COVERサイエンス」シリーズの創刊第一巻として来春早々に出版される予定だ。

講演:DIS+COVERサイエンス創刊発表&記念講演会、
講演者:北澤宏一氏(独立行政法人科学技術振興機構 理事長)
開催日:2009年11月28日(土)
時間:13:00〜18:00(開場12:30)
会場:科学技術館 第3会議室
〒102-0091東京都千代田区北の丸公園2-1 科学技術館6F
主催:ディスカヴァー・トゥエンティワン

講演に先立ち、社長である干場氏より創刊への熱い思いが語られた。凝縮すると、シリーズのキャッチコピーである次の言葉に集約されるだろう。

 科学っておもしろい!
 技術ってスゴイ!
 理系ってステキ!

さて、本論の講演だが、予定より早い午後1時半から始まり、予定より少しずれ込んだ午後6時過ぎまで続いた。休憩をはさみ五時間ほどに及ぶ長丁場。つい居眠りしてしまう者がいてもおかしくはないが、出席者たちはみな最後まで熱心に話を聞き入っていた。

それは、出席者たちの問題意識の高さや、講演の組み立てや内容の面白さにもよるが、大きな要因は話し手の話術にあったのではないかと思う。北澤氏の語りはゆったりとしたリズム感があり心地よく、具体的な事例から一般化を導く論旨の展開は説得力があった。また、不明なことは知らぬと言い、事実と意見を明確に区別する姿勢、組織人としての威厳とお茶目な性格が混じり合っていることも、聴衆を惹きつけた要因だ。研究者として、組織人として、プレゼンテーターとして超一流であることは、私が判断するまでもないだろう。

講演の冒頭で、超電導素材の研究開発によって時代の寵児となったことへの自負を語るのだが、単なる自慢に留めるのでなく、メディアや政治などに翻弄されるべきでない科学者のあるべき姿へと一般化し、現在話題となっているiPS細胞や自然免疫などの研究開発への議論へといつの間にか転じてしまうその立ち位置に、私はいきなり魅了されてしまった。

この講演で北澤氏が言いたかったことは何かというと、つまり創刊第一巻で述べようとしていることは、科学技術は広い視野で捉えれば非常に刺激的で夢のある世界であり、若者たちよ、その素晴らしい世界に飛び込んで来なさい、ということだ。

まだ科学の世界では門外漢である私にとって最もありがたかったことは、現時点での日本の科学技術が置かれている現状と問題点を、具体的な数値と事例を使って理解させてくれたことだ。たとえば:

・科学の世界に二番はない。
・遠いターゲットを定めることは政治も科学技術にも重要なこと。
・オバマ大統領は話がうまい。最終的には同じ削減幅であっても長期的な目標を核廃絶と定めた上での削減と、単なる削減では意味が違って見える。
・失われた90年代の閉塞感から抜け出すために、科学技術が重要だという機運が生まれ、「科学技術基本法」が平成7年11月15日に施行された。
・日本の研究開発費(政府負担・民間支出含む)は約18兆円。
・アメリカはその人口比と同程度の2.5倍。中国はこの10年で飛躍的に伸び日本とほぼ同額。ドイツは8.3兆円。フランス5.3兆円、イギリス4.5兆円、韓国は4.5兆円。インドは2兆円以下。
・日本の研究開発費の約1%に当たる2000億円が競争的研究資金として配分されている。
・競争的研究資金には科研費(2000億円)と戦略創造(500億円)の2つの種類がある。
・科研費(科学研究費補助金)は、サイエンス・コミュニティの自律的運用のための補助金で、20万人いる研究者の3人に一人が受給していると仮定すれば、一人に約300万円ほど補助がある。
・戦略創造(戦略的創造的推進事業)は、国が設定する戦略目標を達成するために研究者の協力を得て達成される事業。運営費交付金として500億円が措置されている。
・ノーベル賞受賞候補者は日本に50名ほどいる。
・日本企業が世界を買い始めている。
・貿易黒字10兆円、海外純資金250兆円、対外所得黒字16兆円
・政府財政赤字800兆円、個人金融資金1500兆円
・娯楽産業100兆円、パチンコ産業30兆円
・ハーバード大学基金3兆円、運用益2000億円以上。年間予算がまかなえる額。
・米は税制優遇措置により個人の寄付が多く、NPO組織が多い。
などなど。

また、30兆円市場のパチンコ産業をひとつの目安として科学やGDPを語るなんて、とてもユニーク。また、世界から見た視点と世代を超えた視点、科学という世界から一歩引いた政治的視点など、そのような時空間を縦横無尽に行き来する話の展開は、非常に刺激的で満足できる内容だった。

そして、最も驚いたことは、瞬間風速的に科学分野で世界一が何人か日本から出ているが、後ろを振り返ると日本人研究者がほとんどいない、という現状だった。科学の世界は、一番でなければ、たとえば特許を取得できなければ、意味のない世界といわれる。層の薄さは致命的だろう。

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<講演前に通りかかった日本武道館では「こぶくろ」のコンサート>

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<講演が終わり北の丸から九段下駅へ>

北澤氏には、出版された本の多くを買い取ってでも世に広めたいという覚悟があるらしい。出版社からすれば、発行部数がある程度確保された、意地悪な言い方をすれば、いわば「できレース」ともいえる。しかし、この出版社ではサイエンス本のシリーズ化を宣言している。そんなケチな勘定は料簡が狭いと一笑されるだろう。紙メディアに従事する出版社が低迷する現状で、しかも科学シリーズが他社の後追いともいえる状況にも関わらず、シリーズ化に踏み切った「ディスカヴァー・トゥエンティワン」の決意には敬意を表したい。

また、この出版社に注目すべきことは、取次を通さないで直に書店へ営業をかけ書籍販売を成功させていることだ。取次を通さない出版社はほとんどない。どのような営業活動をすれば成功できるのか、非常に興味がある。社長である干場氏はいち早くtwitterを積極的に活用し、期を見てさりげなく自社の書籍を紹介しているが、このようなトップの姿勢がユニークな出版社を牽引する原動力になっていることは間違いない。

11月28日はさまざまなイベントが重なり、ホントに悩ましい日だった。友人richico嬢のピアノ演奏会あり、瀬尾拡史君のセミナーあり、野球の試合あり、田舎で同窓会あり……。そして、それら友人たちとのイベントをすべてをキャンセルし選択したのが、「科学技術館」でのセミナーだった。科学の世界はまだよく分からないが、分からない部分を洗い出してくれるには非常に役に立つセミナーであり、間違った選択ではなかったようだ。

この講演会は以下のブログでも紹介されている。

DIS+COVERサイエンス創刊発表&記念講演会レポート ●田中
 版元であるディスカヴァー・トゥエンティワンの「社長室ブログ」にアップされた記事。講演の様子を写真入りで簡潔に紹介している。出版社としても新鮮な試みだったことが、以下のメッセージからうかがえる。

これほど多くの理系の方々がディスカヴァーのイベントに集ったのは初めてかもしれません…!

●日本では、未来に希望を抱く若者が少ないこと。
●諸外国と日本に研究開発費予算の差。
●日本の技術・人材が海外流出している現状
など、日本の科学技術が直面している課題をわかりやすく解説。

お話を伺い、いまこそサイエンスへの投資が必要だと実感し、サイエンスにこそ日本の未来への希望があると改めて感じました。

「若だんなの新宿通信」科学技術館でD21の講演会を聞いてきた
 科学誌『イリューム』の元編集長でサイエンス・コミュニケーターの藤田剛氏が語るとき、多くの発言を引用し自己の意見を明確に述べる。藤田氏とは十数年来の友人だが、私が科学の世界に入ってきたことを少なからず驚いているようだ。

私は、今研究成果が上がってきてノーベル賞を続けて取ったり、
ノーベル賞級の発見といわれる研究が北澤さん曰く「50はある」といえるのは、
やはり今から30年前くらいまでの高等教育の成果(今45歳以上)であって、
そのあとの世代が研究者になるには、結構辛い状況を送っているのではないかと心配する。

バブル時の研究者予備軍の社会への流出、
文系と理系で年収が1.5倍違うなどの情報過多、
理系白書に掲載されているような現状、
ポスドク1万人計画がもたらした荒野などなど。

20年後に日本からノーベル賞が出ているかどうかが心配で、
そのためには、いまが重要だという危機感の持ち方が必要だ。

だからこそ、科学とその教育を応援する機運が必要なのだと思う。

ノーベル賞が生きているウチにもらえるほど長生きする世代は、
そろそろ終わりかもしれないわけだし。

■「リケスタ!試作室」DIS+COVERサイエンス記念講演会
 理系スタイリスト(リケスタ)さんの以下のようなご指摘のように、科学技術の話もさることながら、科学技術政策を牽引してこられた北澤氏のお金にまつわるお話は、興味深いものでした。

感嘆したのは、技術よりむしろ日本の経済の話でした。

日本国の抱える膨大な借金、
日本人がもつ膨大な金融資産、
日本の貿易黒字、
この関係がすっきり理解できました。

特に、

借りた金は使わなければならない
後世にお金を残すことはできない

という言葉には、
経済の本質に触れられた気がしました。

「B サイエンスコミュニケーション」科学技術で日本に夢を(DIS+COVERサイエンスシリーズ)(追記あり)
 M322さんが書かれている以下のようなコメントは、ご自身が現在やっておられるサイエンスを事業として展開されている立場を踏まえ、科学の現実と将来をみすえたご意見として非常に参考になった。

 気になった点を2つほど。

1点目は研究開発資金の話。

資金の元となる金の流れをわかりやすく整理し、研究開発費の確保方法を提案されている。

・日本の貿易収支はバブル後も毎年10兆円。対外純資産は`07年には250兆円もある。
・この資金は海外に進出した企業が持つ。
・資金はあっても国内に金が回らない。失業率も上がる、円高も進む・・・
・内需を喚起し外にでていく資金を呼び込む。
・そのためには投資・寄付を呼び込む仕組み(インセンティブ)を用意することが必要。

限られたパイを取り合うのではなく、パイを増やす方向。
ただ金を要求するのではなく、呼び込む仕組みを提案する。

学術側からこうした提案がでてくることに感心した。

まわりまわって時間をかけていずれ企業も恩恵を受ける学術界の研究成果。
だから企業も応援したい、でもそうもいってられない制度の壁。
その壁を壊す動きを、経済産業省や総務省に向けて、学術界が発信していくのも面白い。

事業仕訳対応では科学者コミュニティーの浮世感が目立つ。
いまこそ産業界と結びついた動きが必要なのではないだろうか。


2点目は科学技術ODAという考え方

電気抵抗ゼロの超電導ケーブルの技術を生かして、地下に埋めた超電導ケーブルを地球のあちこちをつないで世界各地の自然エネルギーを効率的に電送する仕組みの話。

関連記事↓

 >
自然エネルギーへの道と3つの超電導地球ネットワーク

こうした技術を日本がイニシアティブを握って開発し、世界に貢献する。
科学技術をつかったODAという手法。
差し出すのは金でもなく血でもない第3の世界貢献。

世界から尊敬される日本の科学技術。

夢を持てない若者に希望を与えることができるかもしれない。

私がまだ科学の世界をよく分かっていないので、以上のブログから多くのメッセージを引用させていただいた。ご参考にされたい。

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2009年11月 4日 (水)

筑波大学から渋谷へ

今日もサイエンス・イラストレーターの奈良島知行氏と京都大学の大河雅奈さんと行動を共にす。「秋葉原」で待ち合わせ、つくばエクスプレスに乗って「つくば」で下車。駅ビルのバイキング風ランチでちょいと学生気分になり、筑波大学へバスで向かう。

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筑波大学のキャンパスは広い。晴天の空の下、巡回バスで20分ほどの小旅行となった。サイエンス・イラストレーションの可能性について三人の先生方と話をしたのだが、話は尽きず延々3時間も長居してしまった。筑波大学は物理的に広いだけでなく、学問に対する間口も広いことを知る。訪問した三人とも満足げな顔で辞す。

バスで「つくば」駅に着くと、もうすっかり暗くなっていた。

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秋葉原から渋谷に向かう。奈良島氏の活動を当初から支援してくれている旧知の三人と『御蔵』にて合流。『日経サイエンス』のアートディレクター(AD)である八十島さん、『Newton』を立ち上げたときのADである堀木さん、科学誌『イリューム』の編集長松尾さんは、いつもと変わらぬスタンスで気が置けない。

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集合写真なんて嫌がるみなさんをレリーフにしてみた。

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2009年11月 3日 (火)

サイエンスアゴラ2009 四日目

午前中で空手の稽古を切り上げ、サイエンス・アゴラの会場へ向かう。四日目の今日が最終日。地下鉄を乗り継ぎ新橋から地上に出ると、そこは別世界。なんという素晴らしい青空ではないか! 先を急いではいたが、バッグからカメラを取り出し、駅の周りをパチリ、パチリ。

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<ゆるかもめ「新橋駅」前>

モノレールはほとんど空席。迷惑にはならんだろうと、またカメラを取り出す。

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<汐留あたりはビルの谷間>

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<駅は安全だとは思うが、この高さはやはり怖い>

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<快晴の空に浮かぶ雲が急ぐ気持ちを忘れさせる>

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<下から見上げるとどんな風に見えるんだろ?>

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<レインボーブリッジが見えてきた>

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<橋の手前でぐるっと右に回転すると川を渡るのだ>

橋を渡るともう電車の旅は終了。お仕事モードに頭を切り替える。「船の科学館」で下車し、サイエンス・アゴラの会場である「科学未来館」付近までは徒歩5分ほど。なんとか午後一時半に間に合った。

サイエンス・イラストレータの奈良島知行さんと京都大学の大河雅奈さんと、「国際展示場」前で合流し科学未来館へおもむく。サイエンス・イラストレーション教育をどうすれば日本に根付かせることができるか、東北大学の長神(ながみ)さん、栗木さんと真剣に会議。一時間半はちょっと長かったかもしれないが、走るべきレールが敷かれたことは大きい。

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<サイエンスアゴラ2009会場前>

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<奈良島さんと大河さん。青空のようにすみ渡る意思>

サイエンス・コミュニケーションの世界に真摯に取り組むお二人を、まったくの門外漢が果たしてどこまで支援できるのだろう。私がテクニカル・コミュニケーションの世界で二十五年ほど培ってきたノウハウは、そのままでは使えない。それがこの四日間、サイエンス・アゴラに詰めて得た結論だった。あまりにもサイエンスの世界を知らなさすぎる……。

夕刻まで展示を見学した後、奈良島さんと銀座に流れ、今後の展開、翌日の筑波大学訪問について打ち合わせ。もちろん、ビール付き。途方に暮れてる場合じゃない。

サイエンス・アゴラ主催者のみなさん、展示者のみなさん、四日間ほんとにお疲れさまでした。あなたがたの取り組みに感謝します。

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2009年11月 2日 (月)

サイエンスアゴラ2009 三日目

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<モノレールでレインボー・ブリッジを渡る>

11月2日。サイエンスアゴラ三日目は月曜日で平日。曇り空で冷え冷えとしていた。科学への関心も外出する気力もなえてしまうのか、この日の来場者は驚くほど少なかった。ガランとした会場に子供たちの歓声が時折り響き渡る。社会科見学や体験学習といった課外授業で来ていたらしい。

来場者が昨年に較べて少ないのは、企業展示の減少や、開催が一か月早まったことによる出展者側の準備不足など、物理的な原因を挙げる人は多い。しかし、問題はそんなことではない。最も大きな要素は、主催者の姿勢にある。出展の数もシンポジウムの数も増えてはいるが、それをつなぐストーリーがない。集まってくるいろんな期待を持った人たちの顔を想像しながら計画されたとは思えない。科学の何を、いったい誰と、コミュニケーションしようとしているのか分からない。分野別にカテゴライズされ、主な出し物の紹介もあるが、個々の出し物の位置づけがなされておらず、お互いの連携もなく、それぞれの出し物に集まってくるのは関係者ばかりだ。それが「アゴラ」なんだ、「広場」なんだから、それぞれ集まってきた人たちが思い思いに自由に動けばよい、というのか。現時点での科学コミュニケーションのレベルはその程度なのか。

出展者にも問題がある。各ブースでは、質問すれば何をやっているか担当者が丁寧に説明してくれる。しかし、分かりづらい。それにも増して、来場者へ積極的に働きかけるすべを知らない。アゴラはコミュニケーションの場なのだから、コミュニケーションを科学する目で前もって分析し、いくつかのキーワードやテーマを携えて来てしかるべきだろう。

ただし、来訪者が少なくなってはいるが、品質は格段に向上したのではないか、と思う。特にシンポジウムの充実が目立った。この日の午後に参加した2つのシンポジウムには少なからず感動した。

「日本科学未来館」の7階にあるメイン会議場「みらいCANホール」は、円形ドームのような作りで素敵だった。午後1時から始まった「シンポジウム「これからの科学コミュニケーションを考える」 は3時間の長丁場だった。前半は5名のプレゼンテーターが順に各分野からの発表を行い、後半はパネルディスカッション、という形式だった。記憶に残っていることは……。

まず、「科学全体を見渡した科学はまだ存在していない」という吉川弘之氏(JST研究開発戦略センター センター長)の発言には驚いたこと。新井紀子氏のデータベースへの取り組みは斬新で、科学者の人材交流だけでなく、市民、特に高校レベルの科学志向を促すツールとなる可能性が大いにある。高橋真理子(山梨県立科学館 学芸員)氏が実践してきている市民との交流には、科学することの本来の楽しさを実現するための大きなヒントをいただいた。

また、多方面に広がる話題をジャン・ジャック・ルソーの「広場と祝祭」を引き合いに出して締めくくった、司会の美馬のゆり氏(前科学未来館副館長)の落ち着いた進行と臨機応変な対応は、参加者たちが何かをつかんで納得して席を立たせるに足る、迫力と自負を感じた。

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<分かりやすく説明してくれた吉川弘之氏>

しばしの休憩の後、同じ会議場で午後4時過ぎから始まった「“ツタエルコト”はどこにある!? -科学コミュニケーションと学術コミュニケーション」は、コミュニケーションの進むべき方向をいくつか明確にする意味で非常に興味深い内容だった。私のメモも6ページほどあるが、このイベントに関しては、min2-fyさんブログのエントリ(「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」の2009-11-02のエントリ)を参照されるのが一番だ。内容の濃さは凄いのひと言。ありがたい!

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<6名のパネリストたち>

2つのシンポジウムを拝聴させていただき、主催者の意気込みを感じ、企画者たちに感謝した。午後7時、科学館を出ると空はとっぷりと暮れ、周りの建物の照明も落ち暗い中、駅まで歩きながら、「場を設けるデザイン」という言葉を繰り返していた。

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2009年11月 1日 (日)

サイエンスアゴラ2009 二日目

午前のセッションは「裁判変革の時代 -三次元CGの導入を考える-」。プレゼンテーターには、そのCGを制作した瀬尾拡史君(東京大学医学部医学科)、そして弁護士の四宮啓氏、NHKの上田真理子氏の三名がご出席されていた。裁判のあり方を大きく変えるビジュアルがもたらす可能性と問題点が論議された。驚いたことは、裁判というものが、正確さを検察と弁護士が競うものであり、人が人を説得する場ではなかったという事実。そして、CG導入によって法廷自体が驚いていることだった。詳しい内容は後日紹介する。

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メイン会場である日本科学未来館。

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第二会場の東京国際交流館。

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東京国際交流館での展示。

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