写真が変化するとき
この白髪のご婦人はこのベンチに、
いったい何時間すわっていたのだろう。
バルセロナに到着した翌日、青空にそびえるサグラダ・ファミリア周辺を何度か回った。カメラに装着した4ギガのメモリを写真のデータが満たし、詰め替えた2ギガの補助メモリーも満杯となった。三時間は撮っていただろう。ペンションに戻る帰り道で、私はこのご婦人をまた目にした。最初は確か本を読んでいるようだった。二度目は編み物。三度目は誰かと話をしていた。四度目にただじっと座っている姿を見て、シャッターを切った。
この旅行の目的のひとつは、来年のカレンダー用にガウディの建築物を撮影することだった。しかし、こうして歩き回りシャッターを切っていると、本来の目的から離れたところに意識がどんどん移ってしまったのだった。
二週間滞在して撮影したのは五千枚ほど。毎日動き回って撮っていれば、それくらいの枚数にはなる。ほとんどの写真は使えないものばかりだし。それでも撮り残した場面や、実験できなかった試みも多い。とはいえ、このひと月、撮影した写真を繰り返し眺めていて、撮り方が変わってきたことを感じている。
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